歯周病治療
歯周病とは

歯周病は、プラークの中の細菌によって歯ぐきに炎症が起こり、進行すると歯を支える骨や組織が失われていく病気です。痛みが少ないまま進むことも多く、気づいたときには歯ぐきが下がっていたり、歯が揺れていたりすることがあります。
歯周病の進み方には、プラークや歯石の付着だけでなく、喫煙、糖尿病などの全身疾患、歯並びや被せ物の状態、歯にかかる力なども関係します。当院では、歯ぐきや歯を支える骨の状態に加え、こうした要因も確認しながら治療計画を立てます。
治療は、歯周病の主な原因となるプラークや歯石を取り除き、ご自宅でも清掃しやすい状態を整える歯周基本治療から始めます。その後の状態に応じて、歯周外科治療、エムドゲインなどを用いた歯周組織再生療法、歯ぐきの厚みや形を整える歯周形成外科治療などを検討します。
当院には日本歯周病学会認定医が在籍しており、その知識と経験を医院全体の歯周病診療に活かしています。
歯周病になる原因
歯周病の主な原因は、歯と歯ぐきの境目に付着するプラーク(細菌性バイオフィルム)です。プラークによる炎症が続くと、歯を支える組織が壊されることがあります。
歯石はプラークが付着しやすい環境をつくり、喫煙や糖尿病は歯周病の発症・進行や治療後の治りに影響します。また、合っていない詰め物や被せ物、清掃しにくい歯並びなどは、プラークが残る原因になることがあります。過度な噛む力は歯周病の進行や歯の揺れなどに影響することがありますが、それだけで歯周病が起こるわけではありません。
どんな人が歯周病になりやすい?
プラークが残りやすい方、喫煙されている方、糖尿病のコントロールが不十分な方、これまでに歯周病が進行した経験がある方は注意が必要です。歯ぎしりや食いしばりによる強い力がある場合は、すでに弱っている歯周組織への負担を確認します。
また、定期的な歯科受診をしていない方や、歯ぐきの出血をそのままにしている方も注意が必要です。
歯周病が全身に及ぼす影響
歯周病は、お口の中だけでなく、全身の健康状態とも関係することが分かっています。ただし、その関係の強さや影響の方向は、病気によって異なります。
特に糖尿病とは、相互に影響し合う関係が知られています。血糖管理が不良な状態では歯周病が進行しやすくなる一方、歯周病の炎症も血糖管理に悪影響を及ぼす可能性があります。歯周治療を行うことで、血糖管理の改善につながる場合もあります。

また、歯周病は心血管疾患や慢性腎臓病との関連も報告されています。ただし、歯周病がこれらの病気を直接引き起こすことや、歯周治療によって発症や進行を確実に防げることが明らかになっているわけではありません。
妊娠中の歯周病は、早産や低出生体重児、妊娠高血圧腎症などとの関連が報告されています。ただし、歯周病がこれらの問題の直接の原因であると断定することはできません。妊娠中も、お口の状態に合わせて無理のない範囲で歯周病を管理することが大切です。
糖尿病や慢性腎臓病、心血管疾患などの持病がある方、妊娠中の方については、全身の状態や服用中のお薬を確認し、必要に応じて医科と連携しながら治療を進めます。
歯周病セルフチェック
次のような症状がある方は、歯周病が進行している可能性があります。
ただし、歯周病以外の原因でみられることもあるため、気になる場合は歯科医院で検査を受けることをおすすめします。
- 歯みがきのときに出血する
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 口臭が気になる
- 朝起きたときに口の中がねばつく
- 歯ぐきが下がってきた
- 歯が長くなったように見える
- 歯と歯の間にすき間ができてきた
- 歯が揺れる
- 噛んだときに違和感や痛みがある
- 歯ぐきから膿が出る
また、糖尿病のある方や、ご家族に歯周病が進行した方、歯周病によって多くの歯を失った方がいる場合は、歯周病のリスクが高い可能性があります。自覚症状がなくても、定期的に歯周病の検査を受けることをおすすめします。
歯周病の予防
歯科医院でできること
歯科医院では、歯周病検査、歯石除去、クリーニング、歯みがき指導、噛み合わせの確認などを行います。
歯周病は再発しやすい病気です。治療後も、定期的に歯ぐきの状態を確認し、必要なメインテナンスを続けることが大切です。
自宅でできること
歯周病の改善と再発予防には、歯科医院での処置だけでなく、毎日のセルフケアでプラークをどこまで取り除けるかが非常に重要です。歯科医院で歯石やプラークを除去しても、ご自宅で磨き残しが続けば、再び炎症が起こりやすくなります。
歯ブラシだけでは、歯と歯の間や歯ぐきのきわまで十分に清掃できないことがあります。そのため、歯並びや歯ぐきの状態、すき間の大きさに合わせて、フロスや歯間ブラシなどを使い分ける必要があります。
当院では、磨けているつもりでも汚れが残っている場所を一緒に確認し、ご自身で無理なく続けられる清掃方法を身につけていただけるようにサポートします。セルフケアの状態は歯周病治療の経過や、治療後に歯を長く保てるかどうかにも大きく関係します。
また、喫煙は歯周病の進行や治療後の治りに悪影響を及ぼすため、禁煙することも重要です。
当院の歯周病治療

当院の歯周病治療の特徴
歯学博士/
日本歯周病学会認定医が担当
歯周病のプロである、認定医資格を持つドクターが治療を担当いたします。
患者さまのお口の中を拝見して、丁寧に治療を進めていきます。

再生療法や歯周外科治療にも対応
歯周組織再生療法やフラップ手術、骨移植などの歯周外科治療にも対応しております。
歯周病の進行が進んでしまった方や、治療途中で挫折してしまった方なども、ぜひご相談ください。

当院の歯周病治療の診療方針
当院では、まずプラークコントロールを改善し、歯周基本治療を丁寧に行うことを大切にしています。歯科医院でプラークや歯石を取り除くだけでなく、患者さまご自身が毎日のセルフケアで清潔な状態を保てるよう、磨き残しや清掃しにくい部位を確認しながら治療を進めます。

歯周基本治療後は、歯ぐきの炎症や歯周ポケット、歯を支える骨の状態、歯の揺れなどを改めて確認します。保存できる可能性がある歯は、できるだけ残す方針ですが、治療後も安定して機能できる見込みを考慮しながら判断します。
また、特定の歯に強い力がかかっていないか、噛み合わせの状態も確認します。必要に応じて、咬合調整やマウスピースの使用を検討し、歯並びが清掃性や噛み合わせに大きく影響している場合には、矯正治療を行う医療機関をご紹介することがあります。
喫煙に関しては、歯周病の進行や治療後の治りに大きく影響するため、原則として禁煙をお願いしています。禁煙が難しい場合でも歯周基本治療は行いますが、非喫煙者と比べて炎症が改善しにくく、治療後も再発・進行しやすいことをご説明したうえで治療を進めます。
歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットや炎症が残る場合には、必要に応じて歯周外科治療や歯周組織再生療法を検討します。
当院の歯周病の治療法
スケーリング
スケーリングは、歯の表面に付着した歯石やプラークを専用の器具で取り除く処置です。
歯石は歯ブラシでは落とせないため、歯科医院での除去が必要です。

スケーリングの必要性
歯石の表面にはプラークが付着しやすく、歯みがきだけでは清掃しにくくなります。歯石を取り除くことは、歯ぐきの炎症を改善するための歯周基本治療の一つです。
スケーリングによって歯石を取り除くことで、歯ぐきの炎症を改善し、歯周病の進行を防ぐことにつながります。
期待できる効果
歯ぐきの腫れや出血の改善、歯周ポケットの改善、口臭の軽減などが期待できます。
ただし、歯周病の進行状態によっては、スケーリングだけでは十分に改善しないことがあります。その場合は、追加の処置やメインテナンスが必要になります。
治療の特徴と流れ
歯の表面に付着した歯石を、専用の器具を用いて取り除きます。歯石の付着範囲が広い場合や、歯ぐきの中まで付着している場合には、状態に応じて複数回に分けて処置を行うことがあります。
処置後は、歯ぐきの炎症や出血などの変化を確認します。必要な治療が終了し、状態が安定した後は、定期的なメインテナンスへ移行します。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた歯を支える組織の再生を促すことを目的とした治療です。
当院では、症例に応じてエムドゲインを用いた歯周組織再生療法を行っています。エムドゲインは、失われた歯周組織の再生を促す目的で使用する材料です。
再生療法は、どの歯にも行える治療ではありません。骨欠損の形、歯の揺れ、清掃状態、噛み合わせ、全身状態、喫煙の有無などを確認し、治療後に歯を安定して管理できる見込みがあるかを慎重に判断します。

どんな時に行う治療?
歯周病によって歯を支える骨が部分的に失われ、その骨欠損の形が再生療法に適している場合に検討します。症状の強さだけでなく、歯周病検査やレントゲン所見などをもとに適応を判断します。
一方で、骨の失われ方が広範囲である場合、歯の動揺が大きい場合、清掃状態が安定していない場合、喫煙されている場合などは、適応が難しいことがあります。
期待できる効果
歯を支える組織の改善を促し、歯周ポケットの減少や歯の保存につながる可能性があります。
ただし、治療結果には個人差があります。必ず骨が戻る、必ず歯を残せるという治療ではありません。治療後の清掃状態や定期的なメインテナンスも重要です。
治療の特徴と流れ
まず、歯周病検査やレントゲン撮影を行い、歯周病の進行状態や骨の欠損を確認します。その後、歯みがき指導やスケーリング・ルートプレーニングなどの歯周基本治療を行い、プラークコントロールや歯ぐきの炎症の改善を図ります。
歯周基本治療後に再評価を行い、深い歯周ポケットや骨の欠損が残っている場合に、歯周組織再生療法の適応を検討します。必要に応じて、提携先医療機関でCT撮影を行うことがあります。
再生療法の適応があると判断した場合は、局所麻酔を行い、歯ぐきを開いて歯の根の表面に残った歯石や炎症を起こした組織を取り除いたうえで、エムドゲインを用いて処置します。骨の欠損形態などによっては、骨補填材を併用することがあります。
治療後は、傷の治りや歯周組織の状態を確認しながら経過をみていきます。良い状態を長く保つためには、ご自宅でのプラークコントロールと定期的なメインテナンスが欠かせません。
フラップ手術
フラップ手術は、歯周病が進行し、通常の歯石除去だけでは歯周ポケットの奥にある歯石や感染した組織を取り除きにくい場合に行う外科的な治療です。
歯ぐきを開き、歯の根の表面や骨の状態を直接確認しながら処置を行います。

どんな時に行う治療?
歯周ポケットが深く残っている場合、歯ぐきの奥に歯石が残っている場合、歯周基本治療だけでは改善が難しい場合に検討します。
ただし、喫煙は傷の治りや治療後の安定に大きく影響します。そのため当院では、喫煙されている方へのフラップ手術は原則として行っておりません。治療をご希望の場合は、まず禁煙の状況を含めてご相談させていただきます。
期待できる効果
歯周ポケット内の歯石や感染した組織を取り除くことで、歯ぐきの炎症を改善し、歯周病の進行を抑えることが期待できます。
ただし、治療後も歯みがきや定期的なメインテナンスが不十分な場合、再発することがあります。
治療の特徴と流れ
基本治療終了後に再評価を行い、検査結果をもとに適応を判断します。必要と判断した場合、局所麻酔を行い、歯ぐきを開いて歯石や感染した組織を取り除きます。
処置後は縫合し、治癒を確認しながら経過観察を行います。治療後はメインテナンスが重要です。
骨移植
骨移植は、歯周病によって歯を支える骨が失われた部位に骨補填材などを用い、歯周組織の再生を補助する治療です。
当院では、歯周病によって骨が部分的に失われている症例で、歯を保存する目的で骨移植を検討します。多くの場合、エムドゲインを用いた歯周組織再生療法と併用し、骨の欠損形態や周囲の歯周組織の状態に合わせて治療方法を判断します。

どんな時に行う治療?
骨が部分的に失われている場合や、歯を支える骨の形に問題があり、通常の歯周治療だけでは改善が難しい場合に検討します。
ただし、すべての症例に適応できる治療ではありません。骨の状態、歯の動き、清掃状態、喫煙の有無などを確認したうえで判断します。
期待できる効果
歯を支える骨の再生を補助し、歯周ポケットの改善や歯の保存につながる可能性があります。
ただし、治療結果には個人差があり、骨の状態や術後の清掃状態、メインテナンスによって結果が変わります。
治療の特徴と流れ
まず歯周病検査やレントゲン撮影を行い、骨の状態を確認します。必要に応じて提携先医療機関でCT撮影を行うことがあります。
適応があると判断した場合、局所麻酔を行い、歯ぐきを開いて感染した組織を取り除き、骨補填材を用いて処置を行います。
治療後は傷の治りを確認しながら経過観察を行い、定期的なメインテナンスによって再発のリスクを抑えます。
歯周形成外科治療
歯周形成外科治療は、歯ぐきの位置や厚み、見た目、清掃のしやすさ、歯ぐきの安定性 などを改善するために行う外科的な治療です。
当院では、症例に応じて結合組織移植、遊離歯肉移植、根面被覆などの治療を行っています。

どんな時に行う治療?
次のような場合に、歯周形成外科治療を検討します。
・歯ぐきが下がり、歯の根が見えている
・露出した歯の根に冷たいものがしみる
・歯ぐきが薄く、歯ぐきの下がりが進んでいる、または歯周組織が安定しにくい
・歯の周囲に丈夫で動きにくい歯ぐきが少なく、歯みがきの際に痛みや不快感があり、十分に清掃できない
期待できる効果
【結合組織移植・根面被覆】
歯ぐきの厚みを補い、露出した歯の根を覆うことで、見た目や知覚過敏の改善、歯周組織の安定につなげることを目指します。
ただし、歯ぐきの下がり方や周囲の骨の状態、歯の位置などによっては、露出した歯の根を完全には覆えない場合があります。
期待できる効果
【遊離歯肉移植】
歯の周囲にある丈夫で動きにくい歯ぐきの幅を増やし、歯みがきがしやすく、安定した歯周組織をつくることを目指します。
得られる効果は、移植する部位や歯ぐきの状態、清掃状態、喫煙の有無などによって異なります。
治療の特徴と流れ
まず、お口の状態を確認し、歯ぐきの厚み、歯ぐきの下がり方、丈夫で動きにくい歯ぐきの幅、清掃状態、噛み合わせなどを確認します。
適応があると判断した場合は、局所麻酔を行い、必要に応じて上あごの内側から組織を採取し、治療する部位に移植します。結合組織移植、遊離歯肉移植、根面被覆のうち、歯ぐきの状態や治療の目的に合った方法を選択します。
治療後は、移植した組織や採取した部位の治りを確認しながら経過をみていきます。喫煙は傷の治りや治療結果に影響するため、当院では喫煙中の歯周形成外科治療を原則として行っていません。
当院の歯周病治療の流れ
まず、歯周病検査やレントゲン撮影を行い、歯ぐきや歯を支える骨の状態、歯の揺れ、噛み合わせなどを確認します。
次に、歯石やプラークの除去、歯みがき指導などの歯周基本治療を行い、炎症の原因を減らしていきます。また、特定の歯に過度な力がかかっている場合には、状態に応じて噛み合わせの調整やマウスピースの使用を検討することがあります。
歯ぐきの状態が落ち着いた後に再度検査を行い、炎症や歯周ポケット、歯の揺れなどの改善状態を確認します。深い歯周ポケットや炎症が残る場合には、必要に応じて歯周外科治療や、エムドゲインなどを用いた歯周組織再生療法などを検討します。
治療後は、良い状態を維持し、再発や進行を防ぐために定期的なメインテナンスを行います。
精密歯周病検査について
歯周病検査では、歯周ポケットの深さ、検査時の出血、歯の揺れ、プラークや歯石の付着状況、噛み合わせなどを確認します。
必要に応じてレントゲン撮影を行い、歯を支える骨の状態を確認します。また、歯ぐきの腫れや下がり方、歯並びなどを記録し、治療前後や経過中の変化を比較するために、口腔内写真を撮影することがあります。状態に応じて、定期的に撮影しながら経過を確認します。
CT撮影は歯周病の検査で常に必要なものではありませんが、外科治療や歯周組織再生療法を検討する際に、立体的な情報が必要と判断した場合は、提携先医療機関で撮影することがあります。
検査結果をもとに、歯周病の進行状態や必要な治療内容、今後の管理方法についてご説明します。
症状段階別の特徴
軽度歯周病
歯茎のみに炎症を引き起こしている状態です。
痛みといった自覚症状はほとんどありませんが、歯磨きの時や硬いものを食べた時に出血しやすくなる場合があります。

| 見た目 | 歯ぐきが赤く腫れたり、歯みがきのときに出血したりすることがあります。 |
| 痛み | 強い痛みは出にくく、自覚症状が少ないことが多いです。 |
| 日常生活の支障 | 日常生活に大きな支障はないことが多いですが、この段階で治療を始めることが大切です。 |
中等度歯周病
歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け出した状態です。
歯磨きの時に出血したり、歯がうずく、歯茎が腫れぼったく感じるなどの症状があらわれます。しかし一般的な初期段階では、まだ無症状なことが多く注意が必要です。

| 見た目 | 歯ぐきの腫れや出血が続き、歯ぐきが下がったように見えることがあります。歯と歯の間にすき間ができたように感じることもあります。 |
| 痛み | 痛みを感じないことも多いですが、炎症の状態によっては、歯ぐきの腫れや、噛んだときの違和感、歯が浮いたような感覚がみられることがあります。 |
| 日常生活の支障 | 食べ物が歯と歯の間に挟まりやすくなったり、口臭が気になったりすることがあります。歯の揺れがみられる場合には、硬いものが噛みにくいと感じることもあります。 |
重度歯周病
歯を支えている歯槽骨が1/3~2/3ほど溶けた状態です。
水がしみるようになったり、歯磨きをすると歯茎から血が出たり、歯茎が腫れたり治ったりの症状を繰り返します。また、歯がぐらぐらと動揺しはじめ、膿が出たり口臭が強くなる場合もあります。

| 見た目 | 歯を支える骨が大きく失われ、歯ぐきが下がって歯が長く見えたり、歯が移動してすき間が広がったりすることがあります。歯の揺れが大きくなり、歯ぐきから膿が出る場合もあります。 |
| 痛み | 痛みが少ない場合もありますが、炎症が強くなると歯ぐきが大きく腫れたり、噛むと強く痛んだりすることがあります。 |
| 日常生活の支障 | 歯の揺れや噛み合わせの変化によって、硬いものが噛めない、食事がしづらいなど、噛む機能に支障が出ることがあります。さらに進行すると、歯を残すことが難しくなり、抜歯が必要になる場合があります。 |
歯肉炎とは?
歯肉炎は、歯ぐきに炎症が起きているものの、歯を支える組織の付着や骨の喪失までは認められない状態です。
【症状】
歯ぐきの赤みや腫れ、歯みがきの際の出血などがみられます。痛みが少ないため、気づかないまま経過することもあります。
なお、喫煙している方では、歯ぐきに炎症があっても出血などの症状が目立ちにくいことがあるため、見た目や自覚症状だけでは判断できません。
歯周炎とは?
歯周炎は、歯ぐきの炎症が進み、歯を支える骨にまで影響が及んでいる状態です。
【症状】
歯ぐきの腫れや出血、口臭、歯の揺れ、噛んだときの違和感、膿が出るなどの症状が出ることがあります。進行すると歯を失う原因になります。
歯周病治療と抜歯

歯周病で抜歯を行った方が良いケース
歯を支える組織が著しく失われ、治療後に安定して機能させることが難しい場合、歯の揺れが強く噛む機能を保てない場合、歯根破折がある場合、感染や腫れを繰り返し保存が難しい場合などは、抜歯を検討することがあります。
状態の悪い歯を無理に残すことで、感染や痛みを繰り返したり、清掃や噛む機能に支障が出たりすることがあります。当院では、保存できる可能性と保存した場合の見通しを確認したうえで、抜歯が必要かどうかを慎重に判断します。
歯を抜かずに治療するメリットは?
治療後も安定して機能できる歯を残せれば、ご自身の歯で噛む感覚を保ちながら食事を続けられる可能性があります。天然歯には、噛む力や食べ物の硬さを感じ取る歯の靭帯(歯根膜)があり、食べ物に合わせて噛む力を調整する働きがあります。また、抜歯後に必要となるブリッジ、入れ歯、インプラントなどの治療を避けたり、先延ばしにできたりする場合があります。

一方で、歯を残すために複数回の治療が必要になることや、治療を行っても十分に安定せず、将来的に再治療や抜歯が必要になることがあります。炎症や感染が残った歯、揺れが大きい歯、清掃が難しい歯を無理に残すと、痛みや腫れを繰り返したり、噛みにくさや違和感が残ったりする場合もあります。
当院では、単に歯を残せるかどうかだけでなく、治療後に安定して噛める見込みや、ご自宅で清掃を続けられる状態かどうかも確認したうえで、治療方針をご説明します。
抜歯をして治療するメリットは?
感染や炎症の原因となっており、治療による改善が難しい歯を抜くことで、痛みや腫れ、膿などの症状が改善することがあります。
また、治療を繰り返しても安定しない歯や、十分に噛む力を支えられない歯を無理に残すことで生じる負担を避けられる場合があります。

一方、抜歯は一度行うと元に戻すことができません。
歯を失うことで、その部分で噛みにくくなるほか、歯根膜を通じて噛む力や食べ物の硬さを感じ取る機能も失われます。欠損した状態が続くと、部位や噛み合わせによっては、隣の歯が傾いたり、向かい側の歯が伸びたり、噛み合わせが変化したりすることがあります。また、抜歯した部分の骨は時間とともに減少することがあります。
抜歯後は、お口全体の状態や欠損した部位に応じて、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどで歯を補う治療を検討します。ただし、欠損の場所や噛み合わせによっては、必ずしもすぐに補う必要がない場合もあります。それぞれの治療には、治療期間、費用、周囲の歯への影響、清掃やメインテナンスの方法などに違いがあるため、抜歯前からその後の治療まで含めてご説明します。
保険治療と自費治療の
比較

検査内容、検査方法
| 保険治療 | 歯周ポケット検査、出血の確認、歯の動きの確認、レントゲン撮影などを行い、歯周病の状態を確認します。 |
| 自費治療 | 自費の歯周病治療でも、基本となる歯周病検査やレントゲン撮影行います。CT撮影はすべての方に行うものではなく、治療計画を立てるうえで立体的な情報が必要と判断した場合に、提携先医療機関で撮影します。 |
治療方法
| 保険治療 | 歯みがき指導、スケーリング・ルートプレーニングなどの歯周基本治療を行います。歯周基本治療後も深い歯周ポケットや炎症が残る場合には、必要に応じて歯周外科治療や歯周組織再生療法などを検討します。 |
| 自費治療 | 歯周病の状態によっては、エムドゲインを用いた歯周組織再生療法、骨移植、結合組織移植、遊離歯肉移植、根面被覆などを検討します。 これらの治療は、すべての方に行えるものではありません。骨の失われ方、歯の揺れ、歯ぐきの厚み、清掃状態、噛み合わせ、全身状態、喫煙の有無などを確認し、治療によって長期的な改善が期待できるかを検討したうえで適応を判断します。 |
治療期間
| 保険治療 | 歯周病の治療期間は、進行状態や治療する範囲、セルフケアの改善状況、治療への反応、通院間隔などによって異なります。 歯周病は慢性的に進行する炎症性の病気であり、短期間の処置だけで治療が完了するものではありません。歯周基本治療は複数回に分けて行い、その後に歯ぐきの治りやプラークコントロールの状態を確認するため、再度検査を行います。そのため、治療開始から再評価まで数か月かかることがあります。 歯周外科治療や歯周組織再生療法が必要な場合には、治療やその後の経過確認に半年以上かかり、状態によっては1年以上に及ぶこともあります。 検査結果と治療経過を確認しながら、その時点でのおおよその期間や今後の治療内容をご説明します。治療後は、良い状態を維持するために定期的なメインテナンスへ移行します。 |
| 自費治療 | 治療期間は、必要な治療内容や治療経過によって異なります。 治療後は、良い状態を維持するために定期的なメインテナンスへ移行します。 |
制限等
| 保険治療 | 保険診療では、検査や治療の手順、使用できる材料などに一定のルールがあります。歯周組織再生療法は、使用する材料や適応条件によって保険適用の可否が異なり、当院で行うエムドゲインを用いた治療や歯周形成外科治療などは自費診療となります。 |
| 自費治療 | まず保険診療で行える治療をご説明し、保険適用外の治療が選択肢となる場合には、期待できる効果だけでなく、適応条件、限界、リスク、費用についても事前にご説明します。 |
保険診療でも、歯周病検査、歯みがき指導、スケーリング・ルートプレーニングなどの歯周基本治療や、状態に応じた歯周外科治療を行うことができます。
一方、保険診療では、定められた検査や再評価の手順、治療の適応条件、使用できる材料や治療方法に制限があります。そのため、歯の状態や患者さまのご希望によっては、希望する材料や治療方法が保険適用にならないことがあります。
当院で行うエムドゲインを用いた歯周組織再生療法、骨補填材を併用する治療、歯ぐきの厚みや形を整える歯周形成外科治療などは、自費診療となります。
まず保険診療で行える治療をご説明し、保険適用外の治療が選択肢となる場合には、期待できる効果だけでなく、適応条件、限界、リスク、費用についても事前にご説明します。
具体的な治療の違い
保険治療の場合
軽度歯周病
検査、歯石除去、歯みがき指導を中心に行います。数回の通院で改善を目指せることがあります。費用は保険診療の自己負担割合により異なります。
中等度歯周病
歯周病検査、歯みがき指導、歯石除去、歯周ポケット内の処置などを、複数回に分けて行います。その後に再評価を行い、炎症や歯周ポケットの改善状態を確認するため、治療開始から再評価まで数か月かかることがあります。また、再評価後も追加の処置が必要となる場合があります。
治療回数や費用は、治療する範囲や歯の本数、必要な検査、治療への反応によって異なります。
重度歯周病の場合
歯周基本治療を行ったうえで再評価し、歯を残せる可能性や今後の見通しを確認します。状態によっては、歯周外科治療や抜歯、噛み合わせに対する処置などが必要になることがあります。
治療内容が多岐にわたるため、通院回数や費用には大きな幅があります。治療が半年以上に及ぶ場合もあり、必要な治療内容や治療経過によって異なります。
自費治療の場合
軽度歯周病
基本的には保険診療で対応できることが多いです。歯ぐきの形や厚み、見た目、清掃性に関わる問題がある場合には、自費治療をご提案することがあります。
中等度歯周病
歯周病の進行状態によっては、通常の治療に加えて、エムドゲインを用いた歯周組織再生療法、骨移植、歯周形成外科治療などを検討することがあります。費用は治療内容により異なるため、事前にご説明します。
重度歯周病の場合
歯を残せる可能性があるかを慎重に確認したうえで、再生療法や外科的処置の適応を判断します。すべての症例に適応できるわけではありません。費用は治療内容により異なるため、事前にご説明します。
